vol 2 卒業の定義
7年間在職していたスタッフが3月31日付けで退職した。美容師さんの選択肢の一つとして、nambuにずっといて幹部を全うしスケールの大きな仕事に取り組む場合もあるし、いつかはnambuを卒業し、それぞれが独立もしくは違った道に行く事もあるとは思うのですが、私なりにnambuを卒業する定義について少し考えてみました。
目に見える結果に対しては、人は反応しやすく、もちろんそれによって世の中は動いているんだけれども・・・実は目に見えないことの中にこそ、大切なことがあるのではないかと感じています。それは「感性」という一言で片付けられるかもしれませんが、これからの時代は、この目に見えないものがとても大切だと思うし、この感性を磨く必要があるのです。お店の空気というのがあって、特に忙しい土、日などこれをすごく大切に考えています。まず、お客様がどんな感じを持たれているのか?どう感じてらっしゃるのか?待たされて不快じゃないのか?つまらなそうにされていないか?デザインやスタッフの対応に満足されているか?また、スタッフは元気に楽しそうに仕事しているか?ストレスはたまっていないか?だとしたらどこに原因があるのか?今日の問題点はどこにあったか?それを解決するには?昨日の問題点を確実に解決できているのか?日々進歩しているのか?これらの要因がお店の空気を決め、常に爽やかな気持ちのいい風が吹いているお店と、スタッフにやる気がなく、どんよりした重い空気が流れているお店に分かれるのではないでしょうか。飲食店に行ってもどこに行っても、そういうところばかりが気になります。お客様も必ず同じように感じていて、その空気はすぐに見透かされてしまいます。でもその空気は目には見えません。その空気がどうやって出来上がって、何が空気を悪くしているか?も目には見えません。結果が出た時には、すでに遅く、その時点では手遅れです。人の気持ちも一緒で、気がついたときには、もう気持ちが離れてしまっています。結果はプロセスが生み出すものです。しかしそのプロセスは、目には見えません・・・人は結果にばかり目がいきがちですが、結果が出た時にはもう遅いんです。プロセスの段階で、いい結果がだせるか?否か?それくらいを感じとれる事であり、見える目を、それくらいの感性を磨いていかないといけないと思っています。実はnambuを卒業というのは、これらの目に見えな部分、また繊細で人の機微をプロセスの段階で感じ取る事ができて始めて卒業と言えるのではないかなと思います。過去のnambu卒業者の中に感性=技術だと思い込んでしまい、まだまだ未熟で卒業した事や、それを磨く事をおろそかにした事で、その後の美容人生を誤った方向に進んでしまった残念なケースも多々あります。人は結果に大きく左右されます。それはしかたのないことです。但し、その結果には、必ず目に見えないプロセスがあって、そのプロセスが出した必然の答えだからなのです。プロセスが悪いから結果が悪く、会社のせい、nambuのせい、スタッフのせい、環境のせい、社会のせい、誰かのせいにしたくなるものですが、実は全て自分に跳ね返ってくるものです。nambuのスタッフにもそれは言えることで、どうしても結果ばかりにとらわれて、その本質であるプロセスが見えていない・・・目に見えないプロセスの中にある本質。これが解るようになったら、nambuは卒業かなと本当にそう思っています。美容師を続ける上での源流はどこにあるのか?源流に対して心から敬意を表し、 誠意ある態度で示しているのか本質が問われてくるのでしょう。 質や価値観、また人生観や社会的モラルが求められるこれからの時代だからこそ、そんな感性の目を磨いて、大切なことを感じ取れる人間に成長して欲しいと思っています。送別の言葉だけではなく、nambuスタッフにも常に感じて 頂きたい部分でもありましたので、あえて記させて頂きました。