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vol 7 小倉 彩花に捧ぐ

ようやく書ける心境になりました。誰もが悲しいのに、口に出せないもどかしさ。突然の訃報。自分がOFFの日は滅多にかからないオフィスからの連絡。その日はスポーツクラブで気持ちよく汗を流していた。たまたま帰り支度の時に、やけにしつこいコール。特別な事かなと見るとオフィスからの電話であった。窓口の管理責任者は動揺はあったと思うが、あえて冷静に対応していた。○○店の、小倉さんが今朝交通事故でお亡くなりになりました。「えっ・・・」「まさか・・・」「うそ・・・」「ありえない・・・」・・・・・これ以上の言葉が見つからない、出ない。nambuの20年の歴史の中で、小さい事故はあっても、スタッフが亡くなってしまう事が現実にあるなんて想像もしていないし、今だに現実視ができない。しかしこれは現実である。余りにも唐突、突然、予期せぬ事態に、会社も、スタッフも動揺を隠せない。事故の詳細は故人を尊重しここでは列記しないが、私達の教訓として残して逝った物は、確実にあると思う。小倉 彩花は18歳という若さでこの世を去ってしまっが、彼女の笑顔、元気、素直さ、前向きさ、バイタリティー、美容に賭ける想い、先日のコンクールも見事に頑張り全店1位という輝かしい成績を残した・・・今、思い出しても彼女のあどけない顔、姿が目に浮かび、涙が出てしまう。

経営者も含めて、幹部、上司、先輩がもっと普段の生活もきちんと指導したこなかったのが悔やまれる。またどこにでもありうるハインリッツの法則。1:29:300の1が最悪の状況で出てしまった事がむなしさを感じる。小倉 彩花の一番の魅力は何といっても昔くさい言い方かもしれないが「がむしゃら、ひたむき、ギラギラ」していたことなんじゃないかなと思う。nambuスタッフがだんだん薄くなっていく部分を彼女は強く持っていたのではないでしょうか。nambuでは技術、デザインプロモーション、接客サービスと、次から次へと、毎日のように勉強会やミーティングが行われます。色んな事が次から次へとあって、これを越えていくことが、確実に次のステップへのプロセスなんだと想う。この規模や人数になってきて、この辺を越えられないというか、「これくらいでいいや!」と思って多くの美容室経営者が諦めちゃうのが、今すごくよくわかる。この業界に限らず、先輩経営者や目上の人たちを見てると、確かに経営者としても、人生の先輩としても、会社を継続していく難しさを少しずつ感じてきた今だからこそ、何十年と継続させてる事に対して素直に尊敬できる。ただ、逆にこんなこと言っていいかわからないけど、心のどこかでは「あんな風にはなりたくない!!」って思っちゃう人もたくさんいる。それはアシスタントの時代に、先輩たちを見ても思ってたけど、経験してきて継続している凄さは認めるけど、だからと言って「それが魅力的か?」と言ったら自分はそうは感じない。殆どの人は、ある程度になると(それは技術者としても経営者としても一緒だけど)、それ以上先に進むエネルギーを失ってしまう。全速力で走ってた時から、気付かずに少しずつ歩き始めて下を向きだし、気がついたら下だけ見て「もっとがんばれよ!」って言ってる自分が立ち止まってる。そうじゃない人は、きっと心の中で「まだまだもの足りない!」ってギラギラしてて、それはただ単に物欲とかエゴとかだけではなくて、もっと高みを目指していて、もっと理想の自分や理想の会社を求めていて、そんな人はいつまでも、エネルギッシュですごいパワーを発してる。50になっても60になっても、自分は絶対そんなギラギラしたオヤジになりたいと思う。だからこそ持ち続けなきゃいけないんだと想う!高い志や大きな夢を。だって手に入るようなものなら、その瞬間から忘れてしまうのではないでしょうか。だからnambuは「株式上場」くらいのこと言っとくくらいでいいんだと想う。これくらい志が高くないと俗世間の「甘い罠」に困惑されてしまうと想う。いくらマナーやサービスの勉強をしたり、組織を強化していっても、最後は美容師として、後輩から憧れの眼差しで見られたり目標にされるような、そんな美容師に自分たちが成長しなければ、「ただの魅力のない大きな店」にしかならないと常々想う。その両方の壁を越えていくことが、スタッフにとっても、nambuにとっても、絶対に必
要なことなんだと心に誓う。
だからもっとみんなギラギラ、がむしゃらに、ひたむきに頑張ってほしいと願います。小倉 彩花がそうであったように、彼女の果たせなかった無念さを、nambuスタッフも背負っているのだから。でも重く考えないでほしい。きっと彼女もそう想っていると思う。まずは自分の為に。それが小倉 彩花への一番の供養なんじゃないかな。不謹慎かもしれないが小倉 彩花の死に際し特別な想いで書いています。18歳でこの世を去った小倉 彩花に捧ぐ。ご冥福を心からお祈り申し上げます。nambu代表 南部 陽